犬派か猫派か?と聞かれて、いつも「両方好きなんです」と答えてしまい場を白けさせてます。こんにちは。
もくじ
『犬語の話し方』
初の北国での越冬に向け、冬ごもり体制も整ってきたところで、読書に勤しんでおります。
紙と電子でいくつか併読しているのですが、2002年発売と若干古いのですが『犬語の話し方』という本がとても面白いです。(文庫本)
スタンレー・コレン/木村博江 文藝春秋 2002年09月03日頃 売り上げランキング :
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知的好奇心も満足。実用性にも満足。
自分の飼っていた犬とか、よく知っている犬の行動に照らし合わせてみると、あのときああ言っていたのか!と今更ながらに納得。
犬を飼っている人ならもちろんのこと、他の動物を飼っている人や、私のように言語マニアな人のツボにもグッとくる、学術的かつ実用的な本なのです。(人間を含む動物が通常どうやって「言語」を習得するかなどの基本的なことも書かれています)
まぁ何と言っても、やってみようと思えばここに書いてあることを実践して、犬と意思疎通を図ることもできるってところがいい。
ただ、ペットコーナーにあるようなゆるきゃわーな本ではないので、内容に「難しい」印象をもったというレビューもありました。
挿絵は写実的で、可愛いとはいえないw
犬の「社会性」が「犬語」を生み、発達させた
犬は喉の構造上、文字通り「言葉」をしゃべることはできないけれど、社会的な生き物として、他の個体とのやりとりの中で非言語コミュニケーションを取っています。
それは、自分の意思を伝えたり、優位性を示したり、戦うつもりがないことを知らせたり、友好的に振舞ったり、無関心を装って戦いを避けたり、完全に降伏したり、、多岐にわたる意味合いを持ちます。
犬が伝えようとしていることを正しく理解できる
例えば「尻尾を振る」という行為。
ざっくりいうと、尻尾の振る速さが「興奮」の度合いとなるのですが、その振り方、尻尾の高さや緊張の度合いによって「喜び」だったり「威嚇」だったり「不安」だったり様々な意味があります。
そんな感じで、耳の動き、身体の状態(前に出てるか、伏せているかなど)、目の大きさなど、ときにはそれらを組み合わせて、こういうときは犬はこう思っている、こう伝えようとしている、というのが書かれており大変勉強になります。
犬と暮らす人間としては、犬が伝えようとしていることを理解できれば、そしてそれに対して適切なサインを送ることができれば、人間も犬も安心して過ごすことができますよね。
犬は噛み付く前にサインを送っている
この本を読んでいて繰り返し思うことは、犬というのは本当は噛み付きたくて噛みついてるわけじゃないのかもしれないなぁということです。
威嚇にしろ恐怖心にしろ、噛み付く前には必ず犬は何らかのサインを送っているのです。
(単純に、気に入らなくて喧嘩ばかりしていたら群れの働き手がいなくなって非効率ですよね)
犬同士なら、そのサインを理解し衝突を避けることが容易にできます。(尻尾や耳を切られた犬は意思疎通を図ることが難しくなり、衝突が増えることにも触れられていて興味深かったです)
もちろん、サインを理解した上で「戦う」選択肢を取ることもあるでしょう。
だけど、犬語を知らない人間として、「友好」のサインと受け取ってしまったばかりに「不意に」攻撃を受けることになったり、頭ごなしに「逆らってる!」と罰を与えたりするのは、お互いにとって残念なことだなぁと感じます。
この犬はどうして怯えているのだろう?自分のおもちゃを取られると勘違いしているのかな?と推測できる材料があるというのは心強いのではないかと思います。
知らずに、犬に「遊ぼう!!」と言ってた私
以前、知人の家にお邪魔した際、元気のいい若いミニチュアダックスが歓迎してくれました。
人間たちの会話が途切れてきたところに、ちょっとわんこと遊ぼうかなーと思って、私は床に正座したまま両腕を前に伸ばす体勢をとり、そのまま手を左右に動かしたのですw
そしたら、そのミニチュアダックスは本気で遊ぶモードになり、犬同士で遊ぶ時のような興奮状態になりました。
で、唸り声まで混じっていて(威嚇ではないのですが)ちょっとビビった私は引き気味になってしまいましたw
後々、本書を読んで納得したのは、私がとった体勢って「遊ぼう!」と誘いかける時のサインなんですよねw(犬は尻をあげた状態で手を前に伸ばすみたいですが)
多分、対等な感じで「遊ぼう!」「いいよ!」って意思疎通がなされたのでしょうね。
人間が犬語で「遊ぼう!」のサインを出したときと、人間らしく「遊ぼう!」とサインを出したとき、犬の方でも受け取り方が違う(「遊ぶ」の意味、度合い)のかもしれませんね。
実際に使えそうだなぁと思った点
服従することなく、戦う意志はないことや縄張りを侵すつもりはないと示すサインや、初めて会ったときの犬式の挨拶は、知っておくといいと思いました。
それらを使えば、犬がナーバスなときなど無益な衝突を避けることができそうだなぁと感じました。
反対に、私が意図せず威圧的に見えてしまった場合、犬がとる行動によって「あなたを怒らせるつもりはありません」「攻撃しないでください」と衝突を避けようとサインを送ってくることもあり得るわけで…それを見逃さないようにしたいなと思いました。
それを無視してしまうことによって、犬は自分を守るために戦わなきゃと思うかもしれないし、不要なストレスを与えてしまうこともありますよね…。
さいごに
そんな感じで、、、犬は思っていたよりもたくさん、そのボディランゲージや吠え声で我々人間に様々なことを訴えていたのだなぁと愛おしくなりました。
以前トイプードルを飼っていたとき、「犬がこういう仕草を見せたらこういう状態だ」という本はいくつか読んだのですがいくぶん短絡的なもので、悪くいえば人間側の傲慢さが感じられました。
対して本書は、その背景にある犬社会のあり方とか、犬語によって犬がどうやって社会性を築いているのか、という一つの「言語」として向き合っているのが伝わってきて、とても好印象でした。
何より、著者は犬が好きなんだろうなぁというのがわかります。
ところで、犬語も太古の犬たちが行なっていたコミュニケーションから派生してきたものがいくつかあることを知ったのですが、現代人ならぬ現代犬ならではの「犬語」ってあるのだろうか…?
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